日本臨床外科学会雑誌
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症例
先進部盲腸と上行結腸に腸管嚢胞状気腫症を認めた腸重積の1例
小嶌 慶太中村 隆俊三富 弘之小野里 航佐藤 武郎渡邊 昌彦
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2012 年 73 巻 10 号 p. 2595-2599

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抄録

患者は65歳,女性.徐々に増悪する腹痛を主訴に近医を受診した.腹部CTで腸重積を疑い当院に紹介された.腹部超音波検査で左側腹部にtarget signを認め,腹部造影CTでは回盲部が先進部となって脾弯曲付近の下行結腸まで重積していたため,腸重積の診断で同日手術を施行した.腹腔鏡下で鉗子を用いた整復を試みたが,重積部の視野展開が困難であったために開腹へ移行しHutchinson手技で整復した.移動盲腸を認めており先進部は粘膜下腫瘍様を呈した盲腸で,下行結腸まで重積していた.悪性病変も否定できなかったため,回盲部切除およびD3郭清を施行した.切除された盲腸には5cm大の黒色の腫瘍を認めた.病理学的には出血・壊死・変性が強く,粘膜下の間質に多発する気腫性嚢胞および線維化を認めたため腸管嚢胞状気腫症と診断した.術後経過は良好で,第7病日に退院した.術後3年経過したが,無再発生存中である.

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© 2012 日本臨床外科学会
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