抄録
症例は77歳の男性で,膵管癒合不全を伴う膵尾部癌,胆石症の診断で尾側膵切除,胆嚢摘出術を施行した.術後膵液瘻を発症し,絶食,中心静脈栄養管理としたが改善傾向なく,術後18日目に内視鏡的に膵管ステントを留置した.膵管ステント留置後より膵断端のドレーン流出量は著明に減少し,術後57日目に膵断端のドレーンを抜去,術後61日目に軽快退院した.正常膵の場合,膵液の大部分は主乳頭より排泄されるが,膵管癒合不全では,より大きな膵組織である背側膵の全分泌液が開口径の狭い副乳頭から排泄されることになり,膵液の排泄障害による閉塞性膵障害を起こしやすいとされている.膵管癒合不全の頻度は本邦では0.6~0.7%とまれであるが,膵管癒合不全を伴った症例に尾側膵切除を施行する場合は膵液瘻の可能性が高いと考えられ,膵管ステント留置などのより慎重な対応が必要である.