日本臨床外科学会雑誌
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症例
ポリエチレングリコール服用後に発症した肝硬変合併特発性食道破裂の1例
勝木 健文吉田 久美子小野田 雅彦古谷 彰河野 和明加藤 智栄
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2803-2807

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抄録

特発性食道破裂は比較的稀で,縦隔炎や膿胸を合併し致死率が高いため早期診断と治療が重要な救急疾患である.症例は51歳の男性.基礎疾患としてアルコール性肝硬変あり.大腸内視鏡検査の前処置として自宅でポリエチレングリコール(PEG)を服用後,嘔吐と胸痛,吐血をきたし当院へ救急搬送.CT・食道造影で縦隔気腫を伴う食道破裂と診断し,発症後10時間で緊急手術を開始した.血性胸水と胸部下部食道左側壁の約2cm大の破裂孔を認め,縫合閉鎖と縦隔胸腔ドレナージを行った.術後4日間の人工呼吸管理を要し,またDICを併発したが,その後は経過良好だった.術後食道造影では縫合不全や狭窄を認めず,術後第23病日に独歩退院となった.PEG服用後の特発性食道破裂は本邦で2例の報告しかないが,PEG服用の際に嘔吐することがあるため,特に合併症を有する場合は内服速度に注意する必要があり,また自宅での服用は避けるべきと考えられた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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