抄録
症例は79歳,女性.胃癌に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.術後4日目の透視検査で吻合部に異常を認めなかったが,上部空腸の拡張を認めた.麻痺性イレウスと考え術後7日目まで絶食を継続し,排ガスを確認したのち経口摂取を開始した.ところが術後10日目より食後の嘔気を認め,腹部CTにて左側腹部のポートサイトに小腸の陥入と口側小腸の拡張を認めた.ポートサイトヘルニアによる腸閉塞と診断し緊急手術を施行した.ポート創を延長し皮下組織を剥離したところ,陥入した小腸を認め,漿膜面に虚血変化を認めたため切除した.術後経過は良好で再手術から14日目に軽快退院した.腹腔鏡補助下胃切除術後のポートサイトヘルニアは比較的まれであるが,対処が遅れると全身状態の悪化をきたす可能性のある重篤な合併症であるため,術後に腸閉塞を認めた場合,ポートサイトヘルニアの可能性を念頭に入れ,迅速に診断,治療を行うべきである.