日本臨床外科学会雑誌
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症例
幽門側胃切除Roux-en-Y再建後,Y脚吻合部狭窄により輸入脚症候群をきたした1例
白井 順也國崎 主税長谷川 慎一大島 貴利野 靖益田 宗孝
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2825-2829

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抄録

症例は61歳,女性.胃癌の診断で当科紹介となり,平成18年11月,開腹幽門側胃切除(D2郭清),Roux-en-Y再建術を施行した.病理組織結果ではT3,N0,H0,P0,M0 pStage II(第13版)であり,術後補助化学療法としてS-1(100mg/day)を1年間投与した.平成20年2月,平成22年9月に急性膵炎の診断で入院,保存的に軽快した.平成23年9月5日,腹痛を主訴に来院し急性膵炎の診断で入院となった.腹部CT検査で膵の腫大と周囲脂肪織濃度上昇,またY脚の拡張を認めた.小腸内視鏡検査でY脚吻合部に高度の狭窄を認めたため,ドレナージを行い,急性膵炎に対する加療後にY脚吻合部のバルーン拡張術を行った.Y脚内には結石を認め,排石した.経過は良好で軽快退院となった.今回われわれは,Y脚吻合部狭窄に起因すると考えられる輸入脚症候群,急性膵炎を発症した1例を経験したので報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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