抄録
症例は43歳の男性,腹腔動脈を巻き込み大動脈周囲に一塊となった長径10cmの高度なリンパ節転移を伴う胃癌を認めた.cT3N3M1(LYM)Stage IV (胃癌取扱い規約第14版)と診断して治癒切除不能と判断した.延命治療としてS-1+CDDP化学療法を開始したところ,2コース終了時点で腫瘍の著明な縮小を認めた.化学療法6コース終了時点には治癒切除可能と判断されたためD2+No.16a2-b1リンパ節郭清を伴う胃全摘術を施行した.病理組織所見ではypT1b,ly0,v0,N0,Stage IAであった.高度な大動脈周囲リンパ節転移は予後不良因子のひとつであるが,S-1+CDDP療法によって治癒切除が可能となり,予後改善が期待できる症例もあると思われた.