2012 年 73 巻 12 号 p. 3108-3111
症例は56歳,男性.2009年12月検診で胃体上部小弯に潰瘍を指摘され上部消化管内視鏡検査施行.胃体部に糜爛,潰瘍瘢痕の多発,胃全体に1~3mm大の発赤の多発を認めた.病理所見では粘膜固有層にchromogranin A(+),synaptophysin(+),CD56(+)の細胞よりなるendocrine cell micronestの増生が見られた.検査上高ガストリン血漿(1,900pg/ml)を認め,I型胃カルチノイドの診断となった.2010年3月ガストリン分泌を下げる目的でLADGを施行.血中ガストリン値は術翌日31pg/mlと正常化.術後6カ月目の内視鏡検査で残胃の病変は消失し,現在も病変は認められない.本疾患は比較的稀で,今回は治療としてLADG(laparoscopy assisted distal gastrectomy)を施行し良好な結果を得たので報告する.