抄録
症例は28歳の女性で,発熱と食後の腹痛を主訴に近医を受診したところ,腹部超音波検査で腹腔内に多嚢胞性腫瘤を指摘され,精査加療目的で当院紹介となった.受診時の理学所見に異常を認めず,血液検査所見にてCRP値に軽度増加を認めるのみであったが,腹部造影CTにて多嚢胞性腫瘤を先進部とした小腸―小腸型の腸重積症と判明したため,手術加療方針となった.手術は臍に2.5cmの皮膚切開を置き,単孔式腹腔鏡下手術を選択した.腹腔内で重積腸管を整復し,体外で小腸部分切除および再建術を行った.術後経過は良好であった.病理組織学的検査所見で先進部腫瘤は分離腫と診断された.小腸の腸重積症に対し単孔式手術を施行した報告は少なく,小腸の分離腫で異所性胃粘膜や異所性膵組織が否定された腫瘤はこれまで報告がないことから,極めてまれな症例と考え文献的考察を加え,本症例を報告する.