日本臨床外科学会雑誌
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症例
潰瘍性大腸炎経過中に発症した腸管嚢胞様気腫症による腸重積の1例
小久保 健太郎林 昌俊飯田 豊栃井 航也荒川 友希高田 英里
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3197-3202

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抄録

症例は23歳の男性で,4年前より潰瘍性大腸炎を発症し近医にて内服治療を受けていた.早朝に突然の腹痛が出現し当院を受診した.初診時,右季肋部は緊満しており,同部位に圧痛を認めたが反跳痛は認めなかった.腹部CT検査で腸重積,腸管壁内に球状のガス像,後腹膜に腸管外ガス像を認めた.以上より腸管嚢腫様気腫症による腸重積と診断し,緊急手術を施行した.腸管は回盲部を先進部として横行結腸まで至る腸重積で,Hutchinson手技にて整復した.腸管壁は気腫性変化が著明であり,内腔は多発するポリープ状のものを触知した.明らかな腸管の血流障害を認めず腸切除は行わなかった.術後徐々に腸管気腫が改善し,第9病日に下部消化管内視鏡検査施行し横行結腸より口側に多発する粘膜の膨隆を認めた.術後8カ月経過し再発は認めていない.潰瘍性大腸炎の患者に腸管嚢腫様気腫症が発症し腸重積症が引き起こされたきわめてまれな症例を経験した.

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© 2012 日本臨床外科学会
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