日本臨床外科学会雑誌
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症例
尿膜管原発腹膜偽粘液腫の1例
柏木 伸一郎寺岡 均大平 豪玉森 豊新田 敦範平川 弘聖
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3287-3293

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抄録
症例は70歳,男性.腹部膨満感を主訴に来院,精査にて腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei:以下PMPと略記)と診断し手術施行した.腹腔内には多量のゼラチン様物質が貯留しており,その重量は合計で6,100gに達した.臍部より膀胱にかけて嚢胞状の腫瘤が存在し,腹腔内と一部交通を認めた.尿膜管原発のPMPと診断し,原発巣の完全切除および術中化学温熱灌流を行った.病理組織学的には粘液産出を伴う高分化腺癌であった.PMPは粘液産生細胞が腹膜に播種して腹腔内に多量のゼラチン様物質が貯留するという疾患であるが,原発巣は虫垂や卵巣が多く尿膜管由来のものは稀である.自験例のように初診時より腹腔内に多量の粘液貯留が認められた尿膜管原発のPMPは極めて稀であるため,若干の文献的考察を加え報告した.
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© 2012 日本臨床外科学会
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