日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
膵体部後腹膜より発生した限局性悪性腹膜中皮腫の1例
寺澤 宏奥 喜全家田 淳司稲田 佳紀山本 直之山口 和哉
著者情報
キーワード: 腹膜悪性中皮腫
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 12 号 p. 3299-3304

詳細
抄録

症例は78歳.男性.体重減少・貧血精査のため行われたCT検査で右上腹部に不均一に造影される10.5×5.7cmの腫瘍を認めた.胃内視鏡では粘膜面に異常を認めず,壁外性の圧排像のみであった.胃壁外発育性GISTを最も疑い開腹手術を施行した.腫瘍は胃原発ではなく,また周囲臓器への浸潤も認めなかった.最終的に膵臓前面との強い癒着を認めたが剥離可能であった.摘出腫瘍は表面平滑で膨張性に発育しており,病理組織学的には限局性悪性腹膜中皮腫の診断であった.
悪性腹膜中皮腫は比較的まれな疾患である上にびまん型がそのほとんどであり,本症例のような限局型は頻度が少ないとされている.しかし,切除例でも術後再発率が極めて高い上に効果的な化学療法も確立していないことから厳重な経過観察が必要であると考えられる.

著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top