抄録
症例は50歳,女性.主訴は右乳房腫瘤.検診の超音波検査にて右乳房腫瘤を疑われ当院紹介受診した.診察上右乳腺A領域に48×45mmの腫瘤を触知し,超音波検査で辺縁不整のhypoehoic massを認めた.針生検にて浸潤性乳管癌の疑いであったため,乳房部分切除術を施行した.術後病理組織診検査の結果,腫瘍はややクロマチンの増した楕円核および好酸性顆粒状の胞体を有する丈の高い細胞からなり,索状構造を示しつつ多数の胞巣をなし,小腺管構造,Rossett様構造を示す部分も認められた.また,小型の細胞が充実性の増殖を示す胞巣も認められ,一部で線維血管性間質を含み,血液の鬱帯像を伴っていた.以上より神経内分泌細胞由来が疑われ,特殊染色を施行したところ,腫瘍細胞の多くがchromogranin Aおよびsynaptophysin陽性を示し,Grimerius染色でも陽性細胞の多数集族した胞巣を認め,カルチノイドと診断した.