抄録
症例は77歳,男性.検診目的に下部消化管内視鏡検査を施行.内視鏡の先端が下行結腸半ばまで到達した際,急な左鼠径部痛と左鼠径部隆起を訴えた.CT検査において内視鏡が挿入されたS状結腸をヘルニア内容とした左鼠径ヘルニアの嵌頓を認めた.内視鏡の抜去も体外からの用手還納も不可能であったため即日緊急手術を施行した.前方到達法にてヘルニア門を開放し,嵌頓を解除した.ヘルニア分類はType II-2であった.嵌頓S状結腸に壊死所見は認めなかったため非切除で腹腔内に戻した.ダイレクトクーゲル法にてヘルニア修復術を施行した.下部消化管内視鏡検査中に鼠径ヘルニア嵌頓が起こることは非常にまれであるが,起こり得る合併症の1つであるという認識をもつことがのちの迅速な対応に必要である.