日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
大腸未分化癌による成人腸重積症の2例
柴崎 泰横井 佳博金子 猛綿引 洋一
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 3 号 p. 618-625

詳細
抄録

症例1は85歳,男性.腹痛を主訴に受診.腹部CT検査でS状結腸に腸重積を疑った.横行結腸の1型腫瘍が先進部となりS状結腸へ順行性に重積していた.横行結腸切除術を施行し,病理組織学的検査で大腸未分化癌と診断された.症例2は82歳,男性,下血を主訴に当院紹介受診.腹部CT検査でS状結腸に同心円状に造影される腫瘤を認め,待機的に手術を施行した.S状結腸の1型腫瘍が順行性に重積していた.S状結腸切除術を施行し,病理組織学的検査で大腸未分化癌の診断となった.大腸未分化癌は本邦で21例を集計したが,男性に好発し,高度な局所進展と転移を呈し,予後は不良である.それらのうち重積を呈したのは本例を含めて3例のみであった.全例が高齢の男性で,S状結腸または横行結腸の大型隆起型腫瘍であったが,未分化癌に特徴的な術前検査所見は見いだされなかった.臨床的特徴あるいは病態については,さらに症例を重ねた検討が必要である.

著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top