抄録
腹腔鏡下でのヘルニア嚢内ガーゼ充填がpreperitoneal approach法施行時のヘルニア嚢の同定に有効であった小児の非嵌頓大腿ヘルニアの1例を経験した.症例は10歳,女児.右鼠径部膨隆のため他院で右外鼠径ヘルニア根治術を施行されたが術後も消失せず,CTで右大腿ヘルニアと診断され,手術目的にて当院受診となった.立位で右鼠径部やや足側に3cm大の膨隆を認めるが還納は容易であった.手術時にヘルニア嚢の確認が困難になることを危惧し,その対策として,鏡視下にヘルニア門を確認するとともにガーゼをヘルニア嚢内に充填することで脱出状態を再現し手術を施行した.この手技により体表からも脱出部位が明確に確認でき,腹膜やヘルニア嚢の剥離も的確に施行可能になり,安全で確実な手術が行えた.