日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下手術が有用であった特発性腸間膜膿瘍破裂の1例
寺下 幸夫春木 伸裕森 洋一郎原田 幸志朗内藤 明広佐藤 篤司
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2012 年 73 巻 4 号 p. 1008-1012

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抄録
症例は79歳,女性.下腹部痛を主訴に来院.39度の発熱と右下腹部の圧痛を認め,軽度の腹膜刺激症状も認めた.血液生化学検査所見上,炎症所見を認めた.腹部CTでは骨盤内に少量の腹水を認め,回腸壁の肥厚,周囲脂肪織濃度の上昇を認めた.腹膜炎を疑い,腹腔鏡補助下手術を施行した.骨盤内には,中等量の混濁腹水を認め,Douglas窩に回腸が癒着しており,剥離後,下腹部正中で約4cm開腹した.癒着部回腸の腸間膜に膿瘍を認め,破裂していた.回腸に穿孔は認めなかったが,腸間膜は瘢痕化し回腸に狭窄を認めたため,小腸切除術を施行した.回腸に穿孔は認めず,特発性腸間膜膿瘍と診断した.病理組織所見では,腸管間膜に著明な炎症細胞浸潤を認めた.腸間膜血管には陳旧化した血栓形成を認め,何らかの血流障害が存在したことが示唆された.また,腹水の細菌培養も陰性であった.特発性腸間膜膿瘍の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
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© 2012 日本臨床外科学会
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