2012 年 73 巻 4 号 p. 832-835
食道に平滑筋腫が多発し,食道壁の広範な肥厚を呈する食道平滑筋腫症の1例を経験した.症例は35歳の男性で,嚥下時のつかえ感があり,上部消化管内視鏡検査で胸部下部食道,胃噴門部の2カ所に粘膜下腫瘍(SMT)を指摘された.食道造影およびCTで胸部下部食道から胃噴門部におよぶびまん性の平滑筋腫と診断し,下部食道胃噴門部切除術を行った.病理検査では,食道壁内で平滑筋がびまん性に肥厚して足状に進展するかのような壁内構造を形成しており,食道平滑筋腫症と診断された.Alport症候群の合併は否定的であった.