日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭十二指腸切除術により治癒切除した十二指腸浸潤結腸癌の1例
楠元 英次堤 敬文桜井 真人山口 将平遠藤 和也桃崎 征也池尻 公二
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2012 年 73 巻 4 号 p. 869-872

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抄録
症例は66歳,女性.食思不振と右側腹部痛を主訴に諸検査を施行され結腸癌と診断された.下部消化管内視鏡検査で肝彎曲部に3型進行癌を認め,逆行性大腸造影で肝彎曲部に全周性の高度狭窄病変を認めた.圧をかけると口側に造影剤は通過し結腸外へ造影剤が漏出した.上部消化管造影で十二指腸球部に内瘻形成を認め瘻孔を介した肝彎曲部への流れと,十二指腸への順行性の流れを認めた.以上より十二指腸へ直接浸潤した結腸癌と診断し,結腸右半切除術+膵頭十二指腸切除術の治癒切除を施行した.病理組織学的検査所見はmucinous adenocarcinoma(SI(十二指腸,胃),pN1(1/40),Stage IIIa)であった.現在,術後2年2カ月経過しているが無再発生存を得ている.われわれは十二指腸に直接浸潤した結腸癌でも膵頭十二指腸切除術を含めた積極的な合併拡大切除術を行うことで治癒切除となり,長期生存も期待できると考える.
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© 2012 日本臨床外科学会
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