日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
粘膜内病変で発見したVater乳頭部腺内分泌細胞癌の1例
別府 直仁安井 智明相原 司柳 秀憲山中 若樹
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 4 号 p. 863-868

詳細
抄録

症例は67歳,女性.皮膚掻痒感,黄疸を訴え,当院紹介となった.血液生化学検査で肝機能障害と黄疸を認めた.腹部造影CT検査でVater乳頭部に15mm大の腫瘤性病変を認めた.ERCP施行時の総胆管擦過細胞診で小型異型細胞が極性の乱れを伴い増生しており非露出腫瘤型内分泌細胞癌と診断,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腺癌成分と内分泌細胞癌成分が混在した腺内分泌細胞癌と診断した.また腫瘍は粘膜内に留まり,リンパ節転移も陰性であった.しかし術後6カ月目に肝転移をきたし肝切除術を施行した.Vater乳頭部原発腺内分泌細胞癌は悪性度が高く進行した状態で診断されることが多い.たとえ早期に診断し治療し得ども予後不良であり,一般のVater乳頭部腺癌とは異なる性質を有すると考えられた.

著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top