日本臨床外科学会雑誌
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症例
絞扼性イレウスにより消化管穿孔をきたした双胎妊娠25週の1例
芳澤 淳一小出 直彦竹内 大輔鈴木 彰宮川 眞一
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2012 年 73 巻 4 号 p. 879-884

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抄録

双胎妊娠25週の絞扼性イレウスに帝王切開およびイレウス解除術を行ったので報告する.患者は双胎妊娠25週の36歳,女性.35歳時に子宮筋腫核出術を施行されていた.下腹部痛を主訴に近医に入院したが,腸閉塞および消化管穿孔が疑われ,緊急搬送され手術を施行した.開腹すると小腸の絞扼と判断されたが,双胎妊娠子宮が大きく,十分な腹腔内の観察や手術操作が困難であった.また腹腔内汚染により妊娠の継続が困難である可能性が高いと産科医により判断され,まず帝王切開にて胎児の娩出を行った.回腸が癒着により捻転し,壊死に陥り穿孔していた.さらに周囲に膿瘍形成を認め,回腸を約100cm切除した.双児は待機していた小児科医2チームにより管理され,NICU入室となった.母子の経過は良好であった.本例では,消化器外科および産科のチーム,そして2チームの小児科医が密に連携して治療を行い,母子ともに救命することが可能であった.

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© 2012 日本臨床外科学会
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