抄録
症例は63歳,男性.血便を主訴に近医受診,下部消化管内視鏡検査で上行結腸肝弯曲部および直腸に腫瘍性病変を認め,大腸癌と,さらに腹部CT検査で肝両葉に多発する腫瘍性病変を認め,大腸癌同時性肝転移と診断された.肝臓に多発する腫瘍性病変は後区域の病変で右肝静脈根部に,内側区域の病変では中・左肝静脈根部と接し,切除不能であると考えられた.腸閉塞の危険性から結腸の原発巣の切除術を行ったのち,転移巣のdown sizingを目指して化学療法を行うこととした.原発腫瘍組織の遺伝子検索でK-ras遺伝子に変異を認めず,パニツムマブ/mFOLFOX6による化学療法を施行した.6コースの化学療法施行後,肝転移巣は約60%の縮小(PR)を得られ,肝後区域切除,さらに左葉の病変に対して2カ所の部分切除術を行うことで腫瘍を安全かつ確実に切除しえた.