抄録
症例は60歳,女性.下行結腸癌に対し結腸部分切除術を施行した.手術2週間前にセフメタゾール1g×2回/日2日間,術中にセフメタゾール計2gを投与した.術後3日目に突然,39度の発熱と腹痛を呈した.下痢はなかった.再手術を行ったが,明らかな縫合不全は認めなかった.著明に拡張した上行結腸に大量の緑色水様便が貯留しており,糞便検体からClostridium difficile toxinを検出した.メトロニダゾール内服で症状改善せず,バンコマイシン内服に変更した.その後,腹腔内膿瘍を形成し,経皮的膿瘍ドレナージとバンコマイシン/メロペネム点滴静注を要した.C. difficile感染症は再発・再燃を繰り返し,治療に難渋したが,術後94日目に軽快退院した.現在外来通院中であるが,再発はない.「適切な」抗菌薬使用について考えさせられた意義深い1例と考えられたので,報告する.