抄録
左胸郭成形術後の高齢者食道表在癌に対して縦隔鏡下に食道切除術を安全に施行し,術後順調に経過した1例を経験したので報告する.症例は84歳,男性.毎年近医で上部消化管内視鏡検査を受けており,本年3月の検査で食道に異常を指摘された.精査の結果,食道癌の診断を受け,粘膜下層までの進展が疑われたため,外科的加療目的に当科紹介となった.左胸郭は術後性の変形を認め,術前呼吸機能検査では拘束性障害を認めた.Mt cT1b(SM)N0M0 cStage I の術前診断のもと,縦隔鏡下食道切除,後縦隔経路胃管再建,頸部食道胃管吻合,空腸瘻造設術を施行した.胸郭成形術のため縦隔内は瘢痕狭小化しており,食道剥離に時間を要したが,安全に手術遂行可能であった.