日本臨床外科学会雑誌
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症例
産褥期に発症した腹壁デスモイドの1例
三谷 泰之小林 康人辻 毅落合 実山本 基那須 亨坪田 ゆかり
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2012 年 73 巻 7 号 p. 1822-1825

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抄録

デスモイドは腫瘍の発生および増大にエストロゲンが関与していることが報告されている.今回われわれは,産褥期に発見された腹直筋原発のデスモイドを経験したので文献的考察を加え報告する.症例は,32歳女性.出産後の1カ月検診で左鼠径部に圧痛を伴う8cm大の弾性硬の腫瘤を認め,当科紹介となった.CT検査および超音波検査で,血流に富む8×5cm大の左腹直筋と境界が不明瞭な腫瘍を認め,悪性腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は左腹直筋より発生し,恥骨に癒着していた.腫瘍を含む左腹直筋とその前鞘を切除し,腹直筋欠損部はメッシュを用いて修復した.病理診断はデスモイドで,エストロゲンレセプターが陽性であった.術後経過良好で,1年の時点で明らかな再発は認めていない.

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© 2012 日本臨床外科学会
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