日本臨床外科学会雑誌
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症例
仙骨合併切除を要した骨盤内神経節細胞腫の1例
坂元 一郎富沢 直樹清水 尚須納瀬 豊小川 哲史竹吉 泉
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2012 年 73 巻 7 号 p. 1826-1830

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抄録

症例は36歳,女性,10年前に帝王切開の既往があり,その際に8cm大の子宮筋腫を指摘された.2008年9月頃から右臀部の違和感と下肢のしびれが出現し,2009年4月に当科を紹介された.CTでは,仙骨前面に13cm大の境界明瞭な腫瘤を認め,尾骨は約2/3周を取り囲まれていた.尾骨横から腫瘍生検を行い,神経節細胞腫の診断を得た.病理学的に良性腫瘍であったが,増大傾向にあり症状が出現したこと,生検所見のみでは悪性を否定できないこと,神経節細胞腫が悪性化した報告もあることから,2009年8月に手術を行った.腫瘍前面は周囲臓器との癒着は疎で,腸管の温存は可能であった.腫瘍背面は硬く,浸潤が疑われたため,第4仙骨以下を合併切除した.摘出標本は,被膜に覆われた13×9×7.5cmの充実性腫瘤で,病理組織検査では,成熟型の神経節細胞腫であったが,部分的に骨皮質の消失,骨髄への進展がみられた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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