日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
臨床経験
左側大腸癌イレウスに対する術前金属ステント留置術の有用性
島田 守門田 和之岡 博史李 喬遠権 五規平川 富夫
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 8 号 p. 1875-1881

詳細
抄録

当院では左側大腸癌イレウスに対して術前に金属ステント留置を行い,一期的な待機手術を行っているので報告する.対象:2006年7月より2011年10月までの49症例.年齢は51歳~86歳.性別は男性24例,女性25例.結果:ステント留置の契機はイレウス発症41例,内視鏡検査にて高度狭窄6例.部位は,横行結腸3例,下行結腸9例,S状結腸27例,直腸10例.ステント留置は,49例中45例(91.8%)に成功.成功例の内,ステントの位置不良,ステント留置後穿孔,ステントの閉塞により緊急手術となった症例が各1例あり,ステントが有効であったのは49例中42例(85.7%).ステント留置成功例では食事を開始.また,術前に狭窄部の口側の検索を注腸または内視鏡で施行.手術までの平均日数は,イレウス症例11.7日,高度狭窄例8.5日.癌の深達度はA/SS 26例,SE 14例,SI 9例.進行度は,Stage II 17例,Stage IIIa&b 13例.StageIV 19例.ステント減圧有効例では,42例中39例(92.9%)で一期的な待機的手術が可能.結論:金属ステント留置術は,減圧や留置後の患者のQOLが良好であった.

著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top