抄録
症例1は46歳,女性.1年以上前から右乳房腫瘤に気付いており,平成22年5月当科外来を受診した.右乳房のCAE領域に10×7.0cmの硬で表面不整境界明瞭な腫瘤を,右腋窩に径2.0cm大のリンパ節を触知した.針生検にてsolid-tubular carcinomaと診断した.NAC施行後,11月に右胸筋温存乳房切除術・右腋窩リンパ節郭清を施行した.症例2は67歳,女性.1年前から右乳房腫瘤に気付いており,平成22年6月当科外来を受診した.右乳房のA領域に1.8×1.7cmの硬で表面不整境界不明瞭な腫瘤を触知した.針生検にてsolid-tubular carcinomaと診断した.7月に右乳房温存手術・センチネルリンパ節生検を施行した.両症例とも,病理組織検査所見では充実性胞巣状構造を呈しロゼット様の細胞配列を示し,Grimelius染色にて好銀性顆粒を認めた.免疫組織化学ではchromogranin A,synaptophysin,CEAが陽性であり,電顕所見では高電子密度の分泌顆粒を多数認めた.核異型度が高くクロマチンが増量しており細胞配列が乱れていることより,非典型カルチノイドと診断した.乳腺原発のカルチノイドは,本邦では1982年のKanekoらの報告以来自験例を含めて33例が報告されている.その内非典型カルチノイドの組織型を呈する症例は自験例を含めて8例であった.乳腺原発の非典型カルチノイドの2例を経験したので報告する.