抄録
症例は53歳の女性で左乳房腫瘤を主訴に来院した.
マンモグラフィ,乳房超音波検査にて左C領域に15mm大の比較的境界明瞭な腫瘤陰影を認め,カラードップラー検査,造影CT,造影MRIでは腫瘍内に極めて豊富な血流の存在を示す所見を認めた.細胞診では血液成分主体で上皮成分に乏しく判定不可となった.以上より乳腺血管性腫瘍の可能性が高いと判断し乳腺腫瘍摘出術を行った.術後の病理で乳腺毛細血管腫と診断された.乳腺血管性腫瘍はマンモグラフィや超音波検査では特徴的な所見に乏しく,乳癌との鑑別には腫瘍内血流を判断できる検査が有用であると考えられる.また乳腺血管腫と血管肉腫の鑑別は経皮的針生検や部分生検での確定診断は困難であり,術前に画像診断で血管性腫瘍が疑われた場合には積極的に腫瘍摘出術を行い,腫瘍全体を詳細に検索することが重要であると考えられた.