抄録
原発性胸腺癌との鑑別を要し,治療に反応し長期寛解した乳癌術後巨大孤立性転移性縦隔腫瘍を経験した.症例は65歳女性.54歳時に左乳癌にて手術を施行されている.主訴は頸部の腫脹のみ.画像上頸部から中縦隔にかけての最大径9.8cm×長軸19.6cmの巨大な孤立性腫瘍を認めたが,周囲への浸潤・リンパ節転移はなく,反回・横隔神経麻痺や大血管・食道の狭窄症状を認めなかった.生検にてHER-2陽性の低分化な上皮性腫瘍であった.当初縦隔原発腫瘍を考えたが,後日乳癌組織との比較で転移性縦隔腫瘍と診断した.放射線治療後化学療法(ADOC)を施行し部分寛解(以後PR)となり,その後トラスツズマブに変更し,完全寛解(以後CR)となった.治療開始後3年となるが,CRを保っている.