抄録
症例は半年前に盲腸結核の治療歴のある51歳男性で2カ月前に下部消化管内視鏡検査で盲腸部の瘢痕治癒が診断されていた.右下腹部痛で来院,WBC上昇と,CT・超音波検査で虫垂と盲腸に密着する径2cmの嚢胞性病変を盲腸に認めた.翌日,腹痛は消失しWBCは正常化した.盲腸壁外に発育する嚢胞性腫瘍で盲腸結核に関連する何らかの病態が疑われたが鑑別診断に至らず,患者のインフォームド・コンセント後,回盲部切除を施行した.病変は虫垂とBauhin弁間の盲腸壁が肥厚瘢痕化し,一部が輪状狭窄して盲腸壁が嚢胞様に変形したものであった.大腸結核は地図状潰瘍から生じる不規則な瘢痕や偽憩室などの変化をきたす症例がほとんどであるが,小腸に起こる様な輪状狭窄変化が盲腸に生じ,この様な変化をきたしたのではないかと考えられた.輪状狭窄は大腸結核では極めてまれな病態だが,念頭におくべき病態と考えられた.