日本臨床外科学会雑誌
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症例
子宮転移を認めた膵癌の1例
皆川 幸洋下沖 収遠野 千尋高橋 正統馬場 誠朗阿部 正鈴木 正通
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2012 年 73 巻 8 号 p. 2068-2071

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抄録

性器外悪性腫瘍が子宮に転移することは稀であり,本邦においては胃癌からの転移が多いとされている.今回われわれは膵臓癌の子宮転移を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は68歳女性,検診にて子宮内膜細胞診にてclass Vと判定され,婦人科にて子宮摘出予定であったが,採血上CA19-9の高値を認めたため消化器科紹介となった.腹部CTにて膵尾部に約3cm大の低吸収域の腫瘤と骨盤部MRI(矢状断)にて子宮体部の筋層にT2強調画像で約3cm大の低信号域腫瘤が認められた.膵臓癌および子宮癌疑いで膵体尾部切除,脾,横行結腸,左副腎合併切除および子宮全摘術を施行した.病理組織診にて膵腫瘍は浸潤性膵管癌(中分化型管状腺癌)であり,神経浸潤を認めた.子宮腫瘍は膵臓癌と同様の病変を呈し管状腺癌が子宮内膜から漿膜面まで広範に浸潤している像であり,膵臓癌の子宮転移との回答であった.術後補助化学療法としてgemcitabin注施行したが第259病日癌性リンパ管症にて永眠された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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