抄録
症例は59歳,男性.2007年1月に腹痛を主訴に受診し,造影CT検査で左上腹部に15cm大の出血を伴う多房性巨大腫瘤を認め,緊急開腹腫瘍摘出術を施行した.術中所見より後腹膜腫瘍が疑われ,術後病理組織診断および遺伝子検査で後腹膜滑膜肉腫と診断された.術後3カ月の造影CT検査で残存腫瘍の増大を認め,化学療法を施行した.その後も腫瘍は徐々に増大傾向を認め,これに伴い腹部膨満・腹痛・貧血症状が増悪した.計4回の腫瘍減量手術を施行したが2008年9月には再発病巣が急激に増大し,全身状態不良のため死亡した.
後腹膜滑膜肉腫の治療は,手術療法が第一選択だが,その再発率は非常に高く,予後不良の疾患とされている.治療法の選択に難渋した症例を経験したので文献的考察を含め報告する.