日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹膜原発の消化管外間質腫瘍の1例
窪田 公一田中 知博纐纈 真一郎
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キーワード: 消化管外間質腫瘍, 腹膜
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2012 年 73 巻 8 号 p. 2104-2108

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抄録

症例は64歳,男性.右下腹部痛と著明な腹部膨隆を認め入院した.CT,MRIで巨大な腹腔内腫瘍を指摘された.術中所見では腫瘍は腹腔内全てを占拠し,虫垂と回腸の一部に強固に癒着していた.手術は腫瘍摘出と癒着腸管の合併切除を行った.腫瘍は33cm大であった.病理組織学的には腫瘍は間葉系腫瘍で,合併切除した腸管の漿膜からわずかに漿膜下層に浸潤していた.免疫組織学的には腫瘍はKIT蛋白陽性,CD-34蛋白陽性で消化管間質腫瘍(GIST)と判断された.しかし,病理組織学的には腫瘍の原発部位として腹膜が最も考えられたので,消化管外間質腫瘍(EGIST)と診断された.腫瘍は巨大であり核分裂像も多く観察され,極めて悪性度が高いと推察された.本症例のEGISTはGIST診療ガイドラインを参考にすればClinically Malignantに相当すると考えられた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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