2012 年 73 巻 9 号 p. 2241-2244
まれな肺原発の腫瘍である淡明細胞腫の1例を経験した.症例は69歳の男性.血尿を認め当院泌尿器科に紹介となった.経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-Bt)を行い膀胱癌と診断された.全身精査のために行った胸部CTで右肺下葉に充実性の結節を認め,気管支鏡下に擦過細胞診を行ったが確定診断はつかずcT2N0M1の診断で化学療法が施行された.化学療法終了後のTUR-Btで膀胱癌の残存を認めなかった.胸部CTの再検で肺結節の腫瘍径は不変であり,診断治療目的で当科紹介となった.胸腔鏡下肺部分切除術を施行し病理組織診断にて肺原発の淡明細胞腫と診断された.