抄録
症例は70歳,女性.2010年10月にタール便,全身倦怠感を主訴に近医を受診した.Hb 4.3g/dlと著明な貧血を認め当院救急搬送され入院となった.上部消化管内視鏡検査で体下部小弯に露出血管を伴う活動性潰瘍を認め止血処置を施行した.また噴門部を中心に約4cmのType3病変を認め,組織検査で高分化型管状腺癌の診断を得た.術前施行した腹部造影CT検査と腹部超音波検査で脾静脈に塞栓像を認め胃癌による腫瘍塞栓と診断した.同年11月に胃全摘(D2郭清),膵体尾部切除,脾臓摘出術を施行した.術後病理組織的検査ではly3,v3と高度のリンパ管浸襲と脈管浸襲を認め原病巣と脾静脈内腫瘍塞栓は同じ組織型であった.術後12日目に退院しTS-1による術後補助化学療法を行い現在外来にて無再発でフォロー中である.胃癌の門脈系腫瘍塞栓の中で術前に脾静脈腫瘍塞栓を伴う症例はまれであり報告した.