日本臨床外科学会雑誌
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症例
TAE後に脾動静脈瘻を併発した外傷性脾損傷の1例
山口 貴之長谷川 洋坂本 英至小松 俊一郎法水 信治新宮 優二
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2013 年 74 巻 1 号 p. 217-221

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抄録

鈍的外傷性脾損傷に対する治療法は,選択的経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下TAE)などの非手術療法が主流である.非手術療法の合併症としては,後出血,遅発性脾破裂などが知られているが,今回鈍的外傷性脾損傷に対しTAE施行後経過観察中に脾動静脈瘻を併発し,再度TAEを施行し治療した症例を経験したので報告する.症例は43歳,女性.2011年9月自動車事故で左側胸部を打撲し当院に搬送された.腹部造影CTにて脾損傷,腹腔内出血を認め,腹部血管造影を施行し,脾動脈下極枝をマイクロコイルで塞栓した.第8病日の腹部CTで仮性動脈瘤を2カ所認めたが,自然消失を期待し経過観察とした.第15病日に施行した3D-CTで,一方の仮性動脈瘤は消失したが,もう一方は残存し脾動静脈瘻と診断した.再度TAEを施行し,経過良好で第20病日軽快退院した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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