日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
膵頭十二指腸切除術後の遅発性膵瘻に対する膵空腸再吻合術
中川 淳山本 道宏川村 純一郎原田 英樹山本 秀和財間 正純
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2669-2674

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抄録

膵頭十二指腸切除後の膵瘻はしばしば見られる合併症であるが,まれに遅発性に仮性嚢胞として発症する膵瘻に遭遇することがある.われわれはこのような症例に対しては早期の再吻合術を行う方針としている.今回,過去6年間に経験した遅発性膵瘻に対し再吻合術を行った3例を対象として検討を行った.原疾患は各々,膵管内乳頭粘液腺腫・下部胆管癌・胆嚢癌であり,初回再建術式はいずれもChild変法で膵管チューブ留置する完全膵液外瘻法による膵空腸吻合を行い全例経過良好に退院した.術後158~427日目に吻合部近傍の仮性嚢胞所見を呈し穿刺にて膵液の流出と膵管の造影が確認されたため再吻合術を施行した.確定診断と再吻合術の間隔は6日・4日・3日であった.いずれの症例も経過良好で術後12・21・21日に退院し遠隔期において膵空腸吻合にかかわる合併症を呈することなく経過している.遅発性膵瘻に対する早期の再吻合術は安全で有効な治療法であると考えられる.

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