日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
Petersen's herniaへの対応
熊田 博之大西 啓祐岡崎 慎史二瓶 義博五十嵐 幸夫片桐 茂
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2663-2668

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抄録

Petersen's herniaは胃切除Roux-en-Y再建後に挙上空腸と横行結腸間膜の間隙(Petersen's defect)をヘルニア門として起こる内ヘルニアである.当院で2008年1月~2011年12月の間に同疾患と診断した6例を検討した.全例腹腔鏡補助下幽門側胃切除Roux-en-Y再建(前結腸経路)術後であった.明らかな絞扼を疑わせる所見はなかった.全例腹部造影CTでwhirl signを認め緊急開腹術を施行したが,絞扼は緩徐で,陥入した小腸が壊死を呈し切除を要す症例はなかった.整復の後,必要に応じY脚を再建,間隙を縫縮し術後経過良好であった.腹腔鏡補助下胃切除Roux-en-Y再建術は癒着が少ないため小腸の移動が制限されにくく,術後イレウスに対してはPetersen's herniaも念頭に置いた対応が肝要と思われた.現在は再建時に予防的に間隙の縫縮を行っている.

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© 2013 日本臨床外科学会
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