2013 年 74 巻 10 号 p. 2710-2713
患者は54歳,女性.48歳時に左乳癌にて乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検(SLNB)施行.術後6年目の定期外来で左乳房内再発を指摘された.術前超音波検査にて左胸骨傍リンパ節(PsLN)の腫大を認め左胸筋温存乳房切除術+左腋窩郭清+左胸骨傍リンパ節生検+SLNBを施行した.リンフォシンチグラフィにて対側腋窩リンパ節に集積を認め転移陽性であり郭清施行した.病理組織診断にてPsLN・対側腋窩リンパ節の転移を認めた.以前の手術により同側腋窩へのリンパ流が遮断され,PsLNがfirstドレナージリンパ節となりリンパ節を占拠する転移が発生した.そのため,左乳房内リンパ流はさらに変化して右腋窩にSLNが同定されたと推測された.乳房内再発症例では術前超音波検査にてPsLN腫大・対側リンパ節腫大の有無を確認することは重要である.また,再手術の際はリンフォシンチグラフィによるリンパ経路の十分な確認が必要である.