日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
肝癌への経皮的ラジオ波焼灼術施行19カ月後に発症した横隔膜ヘルニアの1例
田島 ジェシー雄大下 裕夫波頭 経明山田 誠足立 尊仁松井 康司
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 10 号 p. 2745-2750

詳細
抄録

横隔膜ヘルニアは経皮的ラジオ波焼灼術(以下RFA)の遅発性合併症の1つであり,肝硬変の基礎疾患・嵌頓により重症化する例がある.今回,RFA施行19カ月後に横隔膜ヘルニアを発症した1例を経験し報告する.症例は86歳の男性.C型肝硬変にて当院通院中,肝S5/8に13mm大の肝細胞癌を認め,RFAを施行された.RFA施行19カ月後に右上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.胸部X線写真にて右下肺野に腸管ガス像を,腹部CTにて右横隔膜に4~5cm大の欠損孔と横行結腸の右胸腔内への脱出を認め,横隔膜ヘルニアの診断で,緊急手術を施行した.RFA瘢痕部に隣接する右横隔膜に径5cmのヘルニア門を認め,横行結腸・大網が右胸腔内に嵌頓していた.嵌頓結腸に壊死所見は認めず,ヘルニア門の縫合閉鎖術を施行した.RFA施行後は長期的に経過観察し,横隔膜ヘルニア発見時は手術時期を逸さないよう早期治療が必要と思われた.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top