日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
直腸癌を併存したIgG4関連リンパ節症の1例
河毛 利顕前田 佳之長谷 諭田原 浩布袋 裕士佐々木 なおみ
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 10 号 p. 2817-2823

詳細
抄録

直腸癌と術前診断し手術を施行したが,小腸間膜リンパ節にIgG4関連リンパ節症を併存していた1例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.下血を主訴に近医を受診し,精査にて直腸癌の診断で当院紹介となった.血液検査では,軽度の炎症反応,IgEの上昇,腫瘍マーカーの上昇(CEA 7.1ng/ml,CA19-9 69U/ml)を認めた.CT検査で小腸間膜に数個の結節を認め,腹膜播種の可能性も考え,試験開腹し小腸間膜の結節を迅速病理に提出したところ,IgG4関連リンパ節症の診断であった.低位前方切除術と小腸間膜リンパ節切除術を施行した.術後採血で血清IgG4の上昇(146mg/dl)を認めた.小腸間膜リンパ節の病理組織学的所見では,直腸癌を併存したIgG4関連リンパ節症が最も考えられた.術後はステロイド内服を開始し経過良好である.若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top