日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期生存した同時性孤立性脳転移を有する直腸癌の1例
呉林 秀崇森川 充洋上田 有紀澤井 利次五井 孝憲山口 明夫
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2824-2828

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抄録

今回われわれは同時性孤立性脳転移を契機に発見された直腸癌に対し,転移巣および原発巣切除を行い,長期生存を得た症例を経験したために報告する.症例は49歳の男性で,2008年4月に頭痛を主訴に前医受診し,頭部CTにて右後頭葉に3cm大の腫瘤性病変を指摘され,当院を受診した.精査にて直腸癌による転移性脳腫瘍と診断した.右後頭下開頭脳腫瘍摘出術を施行し,術後25日目に直腸低位前方切除術を施行した.最終診断はRa-Rb,type2,5.3×4.2cm,pSS-A,ly2,v1,pN2,sH0,sP0,pM1(大脳),Stage IVであった.術後15日目から全脳照射を施行し,術後補助化学療法としてmFOLFOX6療法を6kur,tegafur-uracil (UFT) + leucovorinを12カ月,UFT単独を3カ月施行した.現在60カ月の無病再発期間を得ている.

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© 2013 日本臨床外科学会
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