抄録
80歳台,男性.肝右葉の15cm大の肝細胞癌(非B非C型)に対して肝右葉切除術施行後約7年間無再発で経過していたが,フォローアップ中に右心室心筋内腫瘍・右肺底部腫瘍を指摘された.右肺底部病変は生検にて肝細胞癌肺転移と診断された.また,Gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid (Gd-EOB-DTPA) MRIで右室心筋内腫瘍にGd-EOB-DTPAの取り込みを認め,肝細胞癌の心転移と考えられた.肝への再発は認めなかった.ソラフェニブ800mg/body/dayで治療を開始したが皮膚有害事象が出現したため中止し緩和医療へと移行した.肝細胞癌の右心室への転移は稀である.特に肝細胞癌術後に肝再発を認めない状態での右心室転移症例は極めて少ないため,文献的考察を加えて報告する.