2013 年 74 巻 11 号 p. 2962-2967
目的:胃癌肝転移に対する外科切除の適応については明確なエビデンスは得られていない.教室で経験した胃癌肝転移症例につき,肝切除の適応と有用性について検討した.方法:1995年1月より2007年1月までに胃癌肝転移に対し肝切除が施行された14例を対象とした.予後因子として,原発巣因子(腫瘍最大径,組織型,壁深達度,リンパ節転移,ly,v),転移巣因子(転移時期,個数,占拠部位,切除術式),術前CEA値,術後化学療法の有無について解析した.結果:全肝切除症例の5年生存率は36%であった.予後規定因子として,1)転移時期,2)局在,3)術後化学療法が有意な予後因子であった.特に,異時性かつ片葉に限局した6例においては5年生存率83%と良好な結果が得られていた.結論:胃癌肝転移においても,異時性,片葉に限局した症例では肝切除により長期生存が得られる可能性があり,肝切除を積極的に考慮すべきと思われた.