2013 年 74 巻 11 号 p. 2992-2996
症例は27歳の未婚女性.10日前から左乳房の腫瘤を自覚して,当院を受診.左乳房内上部に8mm大の可動性良好な腫瘤を触知.マンモグラフィーではカテゴリー3の高濃度腫瘤陰影,超音波検査では,線維腺腫に矛盾しない所見であった.穿刺吸引細胞診でも良性と診断されたため,3カ月ごとの経過観察とした.6カ月後に腫瘤径は15mm大と明らかな増大傾向を認め,確定診断のために,腫瘍摘出術(Tm)を行った.組織学的所見では,腫瘍細胞は淡明な胞体を有しており,シート状・胞巣状に増殖していたが,明らかな浸潤像は認めなかった.胞体はPAS染色陽性で,ジアスターゼ処理で陰性化したので,GRCCと確定診断がえられた.切除断端に腫瘍の露出はなく,ER/PRとも陽性,HER2蛋白陰性であったので,術後LH-RH agonistおよびTamoxifenを投与して経過観察とした.