日本臨床外科学会雑誌
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症例
気道ステント留置で救命した食道癌術後気管膜様部損傷の1例
松谷 毅野村 務萩原 信敏松田 明久下田 朋宏内田 英二
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2013 年 74 巻 11 号 p. 2997-3002

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抄録

症例は68歳の男性で,進行食道扁平上皮癌にて,胸腔鏡下食道切除・腹腔鏡補助下胃管作製・後縦隔経路で頸部食道胃管吻合術を施行した.術後第2病日に,咳嗽反射の減弱と喀痰排泄不良にて輪状甲状膜切開で小型気管内チューブを挿入した.第7病日に突然呼吸困難および皮下気種を認めた.胸部CT検査,上部消化管内視鏡および気管支ファイバーを施行し,気管膜様部損傷・気管再建胃管瘻と診断した.気管膜様部損傷部に小型気管内チューブが入り込んでいたため,術後気管粘膜の虚血性変化と小型気管内チューブによる気管壁への持続的刺激が原因と推測した.胸腔ドレーンを挿入後,呼吸・循環状態は改善したが,救命のためカバー付き気管・気管支メタリック・ステントを留置し,瘻孔を閉鎖した.経口摂取が可能となり軽快退院となった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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