2013 年 74 巻 12 号 p. 3435-3439
症例は79歳,女性.C型肝炎で経過観察中に肝細胞癌を疑う腫瘍性病変を認め,肝前区域切除と横行結腸合併切除を行った.組織学的には,肝原発横紋筋肉腫と診断された.術後3カ月後のCT検査にて右横隔膜下に再発を疑う腫瘤を認め,右半結腸切除術・横隔膜合併切除術を行った.組織学的には横紋筋肉腫再発と診断された.その後,初回手術5カ月後のCT検査にて多発肝転移を認め,VAC療法(vincristine,actinomycin-D,cyclophosphamide併用療法)を行った.1コース施行後のCT検査では約15%の腫瘍の縮小を認めたものの,副作用が強く出現し1コースのみで化学療法を終了し,初回手術から9カ月後に死亡した.成人発症の横紋筋肉腫は稀である.さらに肝原発のものは非常に稀である.今回,肝原発横紋筋肉腫に対して2度の手術および化学療法を行った症例を経験したので文献的考察を加え報告する.