抄録
症例は84歳男性で,7年前に肺大細胞神経内分泌癌(large cell neuroendocrine carcinoma: LCNEC)で左上葉切除の既往がある.食欲不振と体重減少を主訴に当院を受診した.腹部CT検査でS状結腸に約8cmにわたる腸管の壁肥厚を認めた.大腸内視鏡検査ではS状結腸に亜全周性の隆起性病変を認め,生検で神経内分泌細胞癌と診断された.開腹するとS状結腸の腫瘍は一部膀胱に浸潤しており膀胱合併S状結腸切除を行った.病理組織診断では,肺LCNECとの鑑別が困難であったが,肺癌ではみられなかった腺癌成分を認めたこと,および免疫染色のパターンが異なっていたことから,最終的に大腸原発の異時性重複神経内分泌細胞癌と診断した.術後はADL・年齢を考慮し,無治療経過観察の方針とし3年2カ月後に原病死した.今回,極めてまれな神経内分泌癌の異時性重複症例を経験したため,文献的考察を加え報告する.