日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
Bevacizumab関連消化管穿孔の外科治療に関する検討
佐田友 藍鯉沼 広治宮倉 安幸堀江 久永藤井 博文安田 是和
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2013 年 74 巻 2 号 p. 352-356

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抄録

2007年9月から2012年5月にBevacizumab(以下BV)併用化学療法を施行した進行・再発大腸癌228例中,消化管穿孔は6例(2.6%)に認めた.症状出現から診断までは6-244時間(中央値85)で,軽度な腹部症状で発症し,全例独歩来院であった.全例手術治療を行い,5例は軽快退院,1例は腹膜炎の軽快後原疾患増悪にて21日目に死亡した.2例で創傷治癒遅延を認めたが,重篤な合併症は認めなかった.穿孔原因は憩室,多発潰瘍,播種細胞破綻等であった.原発巣の穿孔症例はなかった.今回の検討では,BV関連消化管穿孔は発症時の症状は軽微,かつ全身状態は比較的良好で,診断に至るまで長時間を要していた.全例手術を行い良好な結果が得られた.担癌,化学療法中であるが手術リスクが極めて高いとは言えず,外科的治療を迅速に行うべきと考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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