日本臨床外科学会雑誌
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症例
生下時より認められた先天性頸部遺残軟骨の4例
榊原 堅式佐藤 陽子中前 勝視三井 章桑原 義之
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2013 年 74 巻 2 号 p. 357-361

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抄録
生下時より認められた,先天性頸部遺残軟骨の4例を経験したので報告する.4例とも男児で,生下時より,胸鎖乳突筋の前縁に硬い軟骨様の腫瘤を触知した.左側下方が2例,左側上方が1例,右側下方が1例であった.大きさは,1から1.5cm大で,硬く,1歳から2歳時に摘出術を施行した.いずれも,深部は胸鎖乳突筋内で摘出でき,病理組織の検査結果は,軟骨組織と診断された.1例に鼠径ヘルニアを認めた以外は,他の外表奇形は認めなかった.
生下時より認められる前頸部の軟骨組織は,先天性頸部遺残軟骨,頸部軟骨母斑,頸部副耳,頸耳などとも呼ばれ,比較的まれな疾患である.本症はその発生を,第2鰓弓以下の由来とされる説もあり,胸鎖乳突筋の前縁にみられることが多く腫瘍はいずれもその基部が胸鎖乳突筋内にあり,摘出術の適応である.また,他の合併奇形を認めることもあり注意が必要である.
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© 2013 日本臨床外科学会
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